Move

名作「風と共に去りぬ」「ベンハー」で黄金時代

MGM/UAコミュニケーションズは「風と共に去りぬ」「ベンハー」など数多くの名作、大作を生み、戦前、戦後のハリウッド黄金時代を築いた代表的な映画会社。

個人投資家カーク・カーコリアン氏が買収

1969年に個人投資家のカーク・カーコリアン氏がMGMを買収した。そのあと、3500本を超すフィルム・ライブラリーを売却してしまった。1981年に「007」「ピンク・パンサー」「ロッキー」シリーズを持つUA(ユナイテッド・アーチスト)と合併した。

欧州系の独立プロダクション

1990年、MGMにTOB(株式公開買い付け)をかけてたのは米パセー・コミュニケーションズ(Pathé Communications、G.パレッティ社長)だった。イタリア、フランスに映画スタジオを持つ欧州系の独立プロダクションだ。G.パレッティ社長はそれまでの数年間、映画界のM&A(企業の買収・合併)話には必ずといっていいほど登場していた。

追放された映画人が母屋を乗っ取る計画

パセー・コミュニケーションズ社役員には、2年前までMGMの映画製作部門を率いてきた幹部が多数入っていた。買収後、彼らがMGMの映画部門再建に取り組んだ。

事情通は「MGMを追放された映画人がイタリア資本の力を借りて母屋を乗っ取り、お家再興を図るドラマだ」と解説した。


1988年、メリルリンチ幹部が経営

これに先立つ1988年、MGMの経営を米証券業最大手メリルリンチ社の幹部たちが引き受けることになった。MGM・UAコミュニケーションズ社最大の株主である個人投資家、K.カーコリアン氏が、経営立て直しのために信頼する証券マンを送り込んだのだ。名門MGM社がどう変身するか、映画産業界の注目を集めた。

トロイカ方式の経営陣

新経営陣はトロイカ方式だった。CEO(経営最高責任者)の会長兼社長にはメリルリンチ社の投資部門太平洋・南西部諸州担当部長だったジェフリー・バーバコウ氏。ナンバー2、3のポストである執行副社長、上級副社長にそれぞれメリルリンチ社幹部のK.スピバック氏、T.フェター氏が就任した。

エンタメ会社のM&A(買収・合併)を手がけた

バーバコウ氏はメリルリンチ社内でも映画、テレビ、エンタメ(娯楽)産業界のM&A(買収・合併)を長く手がけた。この2年前から子会社、MLメディア・マネジメント社長も兼務してきた。

メリルリンチ社は資産総額約11億ドルのCATV、ラジオ局事業をしており、メディア市場に明るいことからMGMのトップに起用された。


乗っ取り王として有名

MGM(メトロ・ゴールデン・メイヤー)とUA(ユナイテッド・アーティスト)が合併してできたMGM・UAコミュニケーションズ社は1986年以来、乗っ取り王として有名なカーコリアン氏が株式の79%を保有していた。

不採算部門閉鎖や大規模リストラ

経営不振が続いたうえ1988年春以来、生え抜きトップが相次いで死亡したり退職した。カーコリアン氏の番頭格だったS.シルバート氏が臨時にこの3カ月間、トップの座に就いていた。

カーコリアン氏の意向は、大幅な資産売却、不採算部門の閉鎖など大規模なリストラにあった。トロイカ体制で取り組む3人とも「当面、新しい映画づくりなど考えていない。財政再建が第一」(スピバック副社長)と話していた。