歴代の高評価ランキング(IMDB250)
映画の評価(レイティング)の歴代ベストランキング。史上最高のレビューの映画のトップ250です。正式名称は「IMDb Top 250(IMDB250)」。アメリカのIMDBが集計しました。1位は「ショーシャンクの空に」、2位は「ゴッドファーザー」。韓国映画「パラサイト 半地下の家族」は21位(2020年2月現在)。~編集部・戸川利郎
トップ10
順位 | タイトル | 説明 |
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1 | 「ショーシャンクの空に」
(1994年、アメリカ) |
最も心に残る映画に挙げる人は多いだろう。主人公は銀行の元副頭取。妻と不倫相手を殺した疑いで逮捕され無実にもかかわらず終身刑を受けてショーシャンク刑務所に投獄される。 暴力、虐待、不正がはびこる過酷な環境にあっても、主人公は人間の尊厳を失わず、あきらめない。服役して20年。ようやくつかんだ真犯人の手掛かりをつぶされ、脱走計画を実行に移す。それが成功した時、主人公に降り注ぐ大雨…。印象的な場面だ。フランク・ダラボン監督「ショーシャンクの空に」は、日本の映画ファンの心をつかんだウエルメードな娯楽作品だ。 製作国の米国では、アカデミー賞7部門にノミネートされたが、いずれも受賞を逸した。一方、日本では日本アカデミー賞をはじめ各種のコンクールで最優秀外国映画賞に選ばれたのみならず、現在でも、熱く幅広い支持を受け続けている。 いったい、この映画のどこが、日本人の心の琴線に触れるのだろうか? 1947年、米メーン州のショーシャンク刑務所に、銀行の副頭取だったアンディ(ティム・ロビンス)が入所してくる。妻とその愛人を射殺した罪に問われ、無実を訴えるが「厳重管理の終身刑」を宣告されたのだ。 物語は、この刑務所に長年服役中で、仲間に頼まれた物資の「調達屋」をしているレッド(モーガン・フリーマン)が、アンディとの交流を回想するかたちで進行する。 金の亡者の刑務所長(ボブ・ガントン)、サディスティックな主任官(クランシー・ブラウン)、アンディを性的な対象と狙う悪漢たち。“刑務所もの”に欠かせない敵役も勢ぞろいしている。 孤立していたアンディはレッドに近づき、趣味の鉱物採集を再開するための小さなつるはしの調達を頼む。以来、2人は交友を深め、お互いを信頼していくようになる。 絶望的な状況に追い込まれても「心の中の希望はだれも奪えない」と言うアンディに、レッドは「塀の中では、希望は危険だ」と忠告する。それでも、アンディは希望を持ち続けることができるだろうか。そこが、後半の見どころになる。 原作にはない、いかにもハリウッド的なラストを含め、甘すぎると思う部分もある。だが、久しぶりに見直し、エピソードのピックアップの仕方、描き方のうまさに感心した。随所にユーモアや、じんとくる言葉があり、見終わったとき、胸がすくような痛快さがある。おそらく、これが人気の秘密なのだろう。 主役2人も好演。人生を達観したかのようなレッドにフリーマンがぴったりだった。 <作品データ> 1994年。フランク・ダラボン監督。出演=ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントンほか。キネマ旬報ベスト・テン外国映画1位。ブルーレイ、DVDがワーナー・ブラザース ホームエンターテイメントから発売。143分。カラー。 <女優のポスター> 原作は、スティーブン・キングの中編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」。 リタ・ヘイワースは、1940年代にセックスシンボルとして人気を博した米国の女優。劇中に、彼女の代表作「ギルダ」が刑務所内で上映される場面があり、その途中でアンディがレッドに、彼女のポスターを調達してくれるように頼む。 アンディは入手したセクシーなポスターを自分の房の壁に張り、刑務所長にも許される。そのポスターはやがて、マリリン・モンロー、ラクエル・ウェルチのものに変わっていく。それだけで、長い時間の経過を表している。 |
2 | 「ゴッドファーザー」
(1972年、アメリカ) |
マフィア一家をフランシス・コッポラ監督が描いた。
1945年、米ニューヨークの有力マフィア、コルレオーネ家。末娘の結婚式の最中も、一家の主、ビト(ブランド)の元には、陳情者が絶えない。援助を求める彼らに、ビトは、ゴッドファーザー(名付け親)としての敬意を自分に払うなら助けよう、と約束する。 周りを固めるのは、直情的な長男ソニー(ジェームズ・カーン)、気弱な次男フレド(ジョン・カザール)、養子で弁護士のトム(ロバート・デュバル)だ。三男マイケル(パチーノ)は大学に進み、第2次大戦の英雄として帰国。ビトは、マイケルが政治家になり「表の世界で人や社会を操る」ことを願っている。だが、対立組織の麻薬密売から抗争が始まる。そして、マイケルがビトの後を継ぐことになる。 ブランドの風格あるたたずまいが魅力的だ。子どもやファミリーを愛し、抗争を避けようとする平和的な顔の一方で、体を張って闘い続けてきた男のすごみも見せる。 大きな流れになるのは、マイケルが、マフィアのドンに“成長”していく物語だ。もともと家業を嫌っていたマイケルが、ファミリーを守るために父親以上に冷酷な権力者になっていく姿を、パチーノが好演している。 |
3 | 「ゴッドファーザー PART II」
(1974年、アメリカ) |
アメリカで生きるイタリアマフィアの興亡を描いた「ゴッドファーザー」シリーズの第2作。ファミリーのドンとなった三男マイケルの葛藤と、亡父ビトーの若き日の回想が同時進行で描かれ、重厚な人間ドラマが編み上げられていきます。
前作で予感されたマイケルの悲しみはより一層濃くなり、ドンとして生きていくことを決めた彼が、ファミリーの絆としきたりを守るがゆえに、大切なものを失っていく様が悲哀を込めて描かれます。 その色をより一層際立てるのが、ビトーの物語。幼少期にシチリア島でマフィアに両親を殺され、単身アメリカへ渡った彼が、禁酒法時代のニューヨークで、町を牛耳るマフィアのドンへと成り上がっていく過程が同時に展開します。 青年期のビトーと、ほぼ同世代の息子マイケル。二つの物語を重ね合わせることで、あらかじめ決められているもののように繰り返す悲劇と、彼らが生かされている、逆らいようのない運命が浮き彫りになっていきます。終盤でマイケルが下す粛清がギリシャ悲劇を想起させるのも、このような物語の構成が一因となっているのでしょう。 単なるマフィアの抗争劇でないことは前作で既に明らかなことでしたが、第2作もまた、単なる「続編」と呼ぶにはもったいない完成度と、前作のストーリーを引き継ぎながら、より一層深い人間ドラマへと踏み込むという一筋縄ではいかない展開をみせてくれます。アカデミー賞史上、初めてシリーズ連続で作品賞を獲得したという快挙も納得の「続編」の傑作です。 |
4 | 「ダークナイト」
(2008年、アメリカ/イギリス) |
2005年に大ヒットした「バットマン ビギンズ」の続編。3部作の2作目にあたる。アメコミ映画の歴史上、最高傑作と評価されている。
バットマンはゴッサム・シティーで、犯罪撲滅に奔走する正義の味方だ。彼の正体は巨大企業の若き社長、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)だが、それを知っているのは限られた者だけだ。 一方、犯罪そのものを快楽とするジョーカー(ヒース・レジャー)が銀行を襲い、部下たちを殺して大金を独り占めにした。 ジョーカーは犯罪者を巧みに操り、ゴッサムを無秩序状態に陥れようとする。「正体を明かさなければ、市民を毎日一人ずつ殺す」と宣言。宿敵同士の戦いが始まった。 バットマンはジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)や、地方検事のハービー・デント(アーロン・エッカート)らと、最強の敵に立ち向かう。 レジャーは残念ながら撮影後に急死した。アカデミー賞の助演男優賞を受賞した。クリストファー・ノーラン監督。2時間32分。(今矢宗佑) |
5 | 「十二人の怒れる男」
(1957年、アメリカ) |
父親殺しの少年を有罪か無罪か、12人の陪審員が評決するため集められた。証拠は少年の有罪を示しており、11人が有罪を認め、裁判は終わろうとした。
その時「無罪かも知れない、有罪かも知れない。少年の命がかかっている。みんなでもっと話し合おう」と、ヘンリー・フォンダがたった一人で主張する。ここからドラマは劇的に展開する。12人の職業、生活環境はそれぞれ別々、思想も信念も違う。 激しい討論の末、有罪が確定的だった少年に、12人全員が無罪を評決する。公開された時は「アメリカの良心」「民主主義の素晴らしさを表現した」などと絶賛された。 リメイク版や「12人の優しい日本人」といった日本版も出ている。 キャストは陪審員一番から十二番。役名は出てこない。十畳ほどの部屋に閉じ込められた十二人による会話だけの密室劇。ただそれだけである。なのに、全編クライマックスと思える緊張感。法廷劇の代名詞ともいわれる所以(ゆえん)である。 ニューヨーク。十七歳の少年が起こした殺人事件。状況は限りなく有罪に近い。最初の投票で十一人が有罪に手を挙げた。無罪を唯一主張したのが、陪審員八番のヘンリー・フォンダだ。「人の命がかかっている。せめて話し合おう」。ここから議論と説得を繰り返す九十五分の物語が始まる。 最初はみんなお気楽だった。ヤンキースの話を持ち出す七番のジャック・ウォーデン。「傷害や窃盗じゃ退屈だった」とひそかに喜ぶ十二番のロバート・ウェッバー。新聞の株式欄を読みあさる四番のE・G・マーシャル。少年は有罪が確定すれば即、電気椅子(いす)なのだ。フォンダの一言はスイッチとなり、少年の貧しい生い立ちの議論はやがて陪審員のバックグラウンドにまで広がり、激高する人も。代表格が三番のリー・J・コッブで、次第にゆがんでくる口元に注目してもらいたい。 扇風機が作動しない部屋は蒸し風呂状態で、汗がにじむ一番のマーティン・バルサムのシャツ。解放されたラスト、外へ出て初めて名前を名乗り握手する演出もお見事というしかない。最後にフォンダのセリフを今一度。「偏見は真実を曇らせる」。シドニー・ルメットの監督デビュー作は米国の良心を感じずにはいられない。 名優、ヘンリー・フォンダ主演。 |
6 | 「シンドラーのリスト」
(1993年、アメリカ) |
ユダヤ人の血を引くスティーブン・スピルバーグ監督が、執念を持って歴史を再現した素晴らしい力作だ。「E・T・」「ジュラシック・パーク」など映画の歴史を書き換えるヒット作を連発してきた同監督が、十年の構想で取り組んできたこの作品は、彼一流のSFXの見せ場とは無縁だ。モノクロの一見地味な画面で三時間十五分という長丁場だが、観客は一瞬たりとも目を放せないだろう。それほど緊迫感にあふれた映画だ。
ナチス・ドイツに蹂躙(じゅうりん)されたポーランドのクラクフ。オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)は、ゲットーに強制収容されたユダヤ人労働者を使ってひともうけを企む。軍部の上層部にはワイロをばらまき、ほうろうの容器工場の経営に乗り出す。商売は成功、シンドラーは酒と女のぜいたくざんまいの暮らしをするが、やがてユダヤ人たちは死の強制収容所に集められる。シンドラーは、ためた私財をなげうって、ユダヤ人たちの命を救おうとリストを作り、行動に移る。 シンドラーは実在した人物だ。彼が救ったユダヤ人は千人を上回る。ナチス党員章を付け、如才なさで成り上がった、金もうけにしか興味がない男が、なぜ危険を冒してユダヤ人を助けたのか。それは人間を人間として認めないナチズムへの嫌悪感からだ。 そのドイツ軍の“人でなし”ぶりの描写が、あまりにもリアルだ。ユダヤ人のメードに興味がありながら、殴ることでしか気持ちを表現できない将校。彼はハンティング感覚で面白半分に収容所のユダヤ人を撃つ。 この驚くべきリアル感は、ニュース・フィルム的な撮影に秘密がありそうだ。あたかも自分が現場にいるような気分にさせられる。監督料を返上してまでこの映画にかけたスピルバーグ監督の信念が、多くの人々の共感を呼び、この作品に結実したと見る。 |
7 | 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」
(2003年、ニュージーランド) |
邪悪な力を得ることができる指輪をめぐり、指輪をこの世から葬り去ろうとする白の勢力と、それを手に入れようとする闇の勢力が繰り広げる冒険ファンタジー三部作の完結編。
実写化不可能ともいわれ、今も世界中に熱烈な読者がいる原作を映画にした。また、CGを駆使して異形のキャラクターや派手な戦闘シーンをリアルに描いた。 世界を破滅に導く冥(めい)王サウロンの指輪を捨てるために旅立った九人の仲間たち。途中、三つに分かれてしまうが、友情と信頼で結ばれながらそれぞれ旅を続けていた。 指輪を託されたフロドとサムは指輪を破壊できる滅びの山を目指していた。しかし、山が近づくにつれてフロドは魔力で自分を見失いそうになっていた。 一方、冥王サウロンは二十万の大軍を用意し、世界を闇の力で支配しようとしていた。アラゴルンら旅の仲間たちは、冥王サウロンの目をフロドからそらせるため、死闘を繰り広げる。だが、サウロンの力はあまりにも強大だった。 |
8 | 「パルプ・フィクション」
(1994年、アメリカ) |
タランティーノ監督の代表作。
世界の映画ファンを熱狂させた。
米ロサンゼルスを舞台にした犯罪者たちの群像劇。 時間軸をばらばらにして、前後が自在に入れ替わる手法は、強烈なインパクトを与えた。 複層的な物語の組み合わせも特徴的。 タランティーノの低予算のデビュー作「レザボア・ドッグ」で見せた独自のスタイルを維持しつつ、 スケールの大きい娯楽作に仕上げた。 他愛もない会話によって物語が進む。 かと思えば、暴力シーンがさく裂する。 カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドール(最優秀作品賞)を受賞した。 アカデミー賞では脚本賞に輝いた。 興行的にもメガヒットとなり、インデペンデント映画界を大いに勇気づけた。 |
9 | 「続・夕陽のガンマン」
(1966年、イタリア) |
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10 | 「ロード・オブ・ザ・リング」
(2001年、アメリカ/ニュージーランド) |
原作はトールキンが1950年代に書いた「指輪物語」。世界を滅ぼす魔力を秘めた指輪を魔の山に捨てるため、ホビット族の青年フロドらが悪の冥王サウロンと戦いながら旅をする冒険ファンタジーだ。壮大な夢物語を現実にした。 |
11~20位
順位 | タイトル | 説明 |
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11 | 「ファイト・クラブ」
(1999年、アメリカ) |
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12 | 「フォレスト・ガンプ/一期一会」
(1994年、アメリカ) |
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13 | 「インセプション」
(2010年、アメリカ/イギリス) |
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14 | 「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」
(1980年、アメリカ) |
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15 | 「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」
(2002年、ニュージーランド/アメリカ) |
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16 | 「マトリックス」
(1999年、アメリカ) |
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17 | 「グッドフェローズ」
(1990年、アメリカ) |
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18 | 「カッコーの巣の上で」
(1975年、アメリカ) |
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19 | 「七人の侍」
(1954年、日本) |
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20 | 「セブン」
(1995年、アメリカ) |
21~30位
順位 | タイトル | 説明 |
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21 | 「ライフ・イズ・ビューティフル」
(1997年、イタリア) |
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22 | 「シティ・オブ・ゴッド」
(2002年、ブラジル) |
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23 | 「羊たちの沈黙」
(1991年、アメリカ) |
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24 | 「素晴らしきかな、人生」
(2016年、アメリカ) |
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25 | 「スター・ウォーズ」
(1977年、アメリカ) |
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26 | 「プライベート・ライアン」
(1998年、アメリカ) |
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27 | 「千と千尋の神隠し」
(2001年、日本) |
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28 | 「グリーンマイル」
(1996年、アメリカ) |
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29 | 「パラサイト 半地下の家族」
(2019年、韓国) |
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30 | 「ハミルトン」
(2020年、アメリカ) |